早期リタイア3年生+n

早期リタイア3年生(+n)

ギリ40代でリタイアした元会社員。今は限りなく無職にちかいフリーライター。投資も少し。

財政審の「金融所得を社保に反映」 配当所得のみで譲渡所得は対象外?

 暇だったので、財政審の資料を改めて見直していました。

 

 昨日は見落としていましたが、これ、対象範囲が配当所得に限定されてるかもしれません。

 

 個人的な所感ですので、ぜんぜん的外れだったらごめんですけど。

 

スライドに譲渡所得が明記されていない

 さて、官僚の資料には明確なルールがあって、「網羅性」「正確性」「(用語の)統一性」が求められ、スライドには関係あることは全部書き込んできます。書いてある範囲を狭く記載した場合は、関係各所から突っ込まれるので「等」を使い範囲を広げておくのが通例です。*1

 

 それを踏まえた上で、財政審の該当スライドがこちら。

 

 金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みとして、上場株式等の配当が例示されています。

 

 ここで気になったのが、株式や投資信託等の譲渡所得(売却益)が例示されていないこと。前述したように、霞が関の資料においては、揚げ足を取られないように「等」を入れて対象となる範囲を広げておくものです。

 

 

 ところが、この資料の◆金融所得と課税所得との関係(イメージ)では上場株式の配当に「等」が入っていません。仮に譲渡所得まで対象に含めるつもりなら「上場株式の配当等」として、欄外注に「株式等の譲渡所得なども同様」と表記するのが自然に思えます。

 

 他方で下の【改革の方向性】(案)には「配当など(※)」として、譲渡所得も含めるように読めなくもないですが、実は※マークについては、図右の(例)上場株式の配当のハコの右の「選択可能」にかかっている=課税方式が本人選択により変わることを意味しており、配当「等」=譲渡所得などを含むという意味ではなさそうです。意図しているなら「配当等」と用語を統一した上で欄外注に記載します。普通は。

 

配当所得は総合課税、譲渡所得は分離課税の歴史

 

 配当所得は保険料勘定の賦課対象とし、譲渡所得は対象外とも読める理由は何か。

 

 恐らくですが、

  •  配当所得=恒常性のある所得
  •  譲渡所得=恒常性のない所得

 という観点からの切り分けではないかと。

 

 というのも、制限的所得概念(所得源泉説)においては、配当所得は給与等と同じく「反復的・継続的に生ずる」所得として考えられており、譲渡所得は一時的な利益として所得の範囲から除外すると考えられているためです。

 

 他方で、包括的所得概念においては、担税力のベースとなる経済的な利得は所得すべてで構成される=一時的な利益も所得の範囲に入れて考えるとされます。

 

 戦後のシャウプ勧告に基づいた税制では、包括的所得概念において税制が整備されたので、戦後の日本の金融所得は総合課税の対象でした。ですが運用面や効率面などで「やっぱり無理があるよね」となって、総合課税と分離課税と源泉分離課税等々、ごちゃごちゃになった時代がありました。1988年くらいまでの話です。

 

 で、「これもやっぱり無理があるよね」となり、2002年に政府税調が「いろんな金融商品で税率や制度がバラバラなのはよくないよね。ひとつにしようぜ」と答申して、「金融所得の一体化」が進められ、税率やら課税方式がまとめられてきた経緯があります。その中で、金融所得は総合課税から分離課税へとなっていきました。

 

 要は、日本の金融課税の考え方は、総合課税から分離課税へと流れてきたわけですが、その歴史的経緯の中で、配当所得は確定申告において総合課税も選択できる、という道が残り、配当所得控除もその残滓として刻まれているというわけです。

 

 前置きが長くなりましたが、今回示された資料で、配当所得のみが保険料の賦課ベースに反映するような書きぶりになっているのは、「配当所得は給与等と同じ反復的に生ずる所得」という扱いだからでは、というのが僕の私見です。

 

 もう一方の譲渡所得(分離課税)を含めてしまうと、一時的な所得の増減で保険料が変わってしまうことから、保険財政運営の安定性からも望ましいとは言えません。

 

 また、分離課税には退職所得や土地・建物の譲渡所得なども含まれます。こうした一時所得を保険料賦課算定ベースに含めるのはやはり望ましくなく、株式等の譲渡所得を含め分離課税に入るものは対象外にするしかないように思えます。*2

 

損失が生じたときに保険料は減るのか

 

 ということで、今回のターゲットは配当所得のみとみて、投信の売却益に手を突っ込んでくる可能性は低いと考えています。

 

 もちろん、将来的にはわかりません。実際、財政審の方針は金融資産も含めた支払い能力、つまり応能負担に基づく制度設計の追求です。

 

 

 今後の保険料財政を考えれば、後期高齢者の負担を増やしていくのが筋で、まずは原則2割負担を早急に実現すべきでしょう。これについては、今後の方向性としてスライドに書き込まれていますし、社会保障の改革工程にも明示されています(2割とは書いてないけど)。

 

後期高齢者1人当たり保険料と現役世代1人当たり後期高齢者支援金の伸び率が同じになるよう、高齢者負担率の設定方法を見直す。2024年度に実施する

 

 もっとも、後期高齢者の自己負担を2割にしても、全体の8%→16%になるだけで、財源構成が適正化されるとは言い難いレベル。保険料のベース自体も引き上げていくとなれば、理屈付けしやすいのは「応能負担」、つまり金融資産に応じた負担で、今回みたいな話が浮上してくるのでしょう。

 

 けど、あくまで私見ですが、譲渡所得まで手を突っ込んでくるのは無理な気がするんですよね。

 

 譲渡益が出たとき → 保険料をガツンと徴収する

 譲渡損が出たとき → 保険料をマイナスにする

 

 これができますか?って話です。

 

 特定口座における損益通算のように、数年内でプラマイを相殺する仕組みがあるなら理解できなくもないですが、プラスのときだけ徴税し*3マイナスのときは無視する、というのは公平性の観点から成り立ちません。

 

 とすると、やはり恒常性のある配当所得だけが当面のターゲットで、スライドに譲渡所得を書き込まなかった、いや、書き込めなかったんだろうと推察するわけです。

 

 まあ、あくまでぜんぶ想像の話で、いきなりひっくり返ったりするのが現実なんで、話半分に聞いていただければ幸いです。

 

 個人的には、昨日の記事にまとめたように、特定口座は可能な限り早く、無税で現金化してNISAと贈与と法人に振り分け、将来に備えたいと思います。

 

 


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*1:本気度においても、「今後検討すべき」「検討を進める」「検討を加速する」「着実に進める」など、右に行くに従って実効性が高まります。

*2:もちろん、分離課税の所得のうち、金融所得に関するものだけ対象とすると線引きもできます。もっとも、その際にはなぜ不動産等の譲渡所得を対象としないのか、対外的に明確なロジックが必要となりますが、資産価値が資産の種類によって変わるという説明は、やっぱり無理筋に思えます。

*3:性格には保険料ですが天引きされるという点で税金と変わりません

2028年度、金融所得が国保に反映される? 無理筋とは思うけど対策はしておく

 以前からお付き合いのあるTannerさんのブログで、こんな記事を拝見しました。

 

synergeticlifestyle.blog.fc2.com

 

 なるほど。

 

 国保の算定基準に特定口座の所得(分離課税)を加算しよう!

 金持ちから取る分には文句も出ないだろ!

 不公平だからと理由つけとけば納得感も出るし!

 

 …という浅知恵で出てきたっぽい愚策っすね。

 

 自民党PTが厚労省の官僚にペーパー書かせて俎上に載せたニオイがプンプンするぜえーーー!(ジョジョ風に)

 

 これが通ると、分離課税そのものの存在意義が宙に舞う*1ので、よっぽどのアホでなければ断念するとは思うんですけれど、まあ子育て支援金とか無理筋を通してくるような政党なのでやる気なのかもしんないですね。

 

 さて、これを通すなら、会社員の特定口座における金融所得も社保に反映しないと筋が通らないんですけど、そのへんどう考えてるんですかね。たぶん何も考えてねえだろうなあ。制度設計できそうもないし(法人が個人の特定口座の所得を聞き出して、年末調整に反映しろっていったら経団連あたりが本気でボコリに来るでしょう)。

 

 

 こいつの出どころの資料にざっと目を通してみました。

 下記で公開されてるPDFの152ページ目です。

www.mof.go.jp

 

 この資料とは別に、2023年12月に閣議決定された「社会保障の改革工程」では、2028年度までに金融所得を国保後期高齢者医療制度に反映させるとなっています。

◆ 医療・介護保険における金融所得の勘案
国民健康保険制度、後期高齢者医療制度及び介護保険制度における負担への金融
所得の反映の在り方について、税制における確定申告の有無による保険料負担の不
公平な取扱いを是正するため、どのように金融所得の情報を把握するかなどの課題
も踏まえつつ、検討を行う。

 

 個人的にちょっと気になるのは、この是正措置でどんだけ財源が生まれるか、まったく示されてないことなんですよね。普通なら試算するはずだけど、厚労省が金融資産課税した場合のデータを財務省からもらえてないのかなーとか。思いつきで出したのが通っちゃったのかなあ、とか。

 

やっぱ法人つくるしかないっしょ

 

 ともあれ、財政に余裕がない中で、取れるところから取るのが政府の基本方針ですから、こっちはこっちで対策を考えて実行していくのみです(文句は言う)。

 

 要は、金融資産があるならもっと払え、というスタンスなわけなので、対策としては金融資産を減らすしかありません。

 

 具体的には、不動産や金などの現物資産に置き換える、が対策のひとつでしょう。

 

 実際、大学の給付型奨学金も金融資産が2000万円以上あるとNGなんですけど、不動産などの現物資産は対象に入れないので、不動産に変えておけばオッケーなんすよね。

 

 不公平を是正するというなら、まずは金融資産と不動産等の現物資産の扱いの差を是正してから話をしてほしいところですが、地場の自民支持者(地主)から総ボッコされるのでやらんでしょうね。

 

 あとはビットコイン等の暗号資産でなんとかする(知らん)?

 

 

 私個人としては、万が一これが来ても、影響を受けるのは後期高齢者医療制度の対象になる75歳からなので、あまり急ぐ必要はありません。法人つくっておいてよかったよ。

 

 で、75歳になって後期高齢者医療制度の被保険者になり、特定口座の利益が保険料に反映されると大変なことになるので、それまでの間に特定口座を空っぽにします。

 

(1)毎年、利益150万〜200万円を吐き出す形で取り崩す

 現時点で控除枠が200万円ほど、子供が独立したら150万円ほどある。

 控除枠と同額を売却し、確定申告で相殺して源泉徴収分の税金を取り戻す

 

(2)取り崩した現金はNISAへ移す(あと4年)

(3)以降、取り崩した現金は法人証券口座に移し投信を購入する

 法人証券口座でemaxis slim先進国株やオルカンなどを購入。

 こちらの運用益は経費で相殺してなるべき税金をゼロにする。

 経費は10年繰り延べられるので、車を買ったりすれば一気に経費化できる。

 (ただし限度があるので万全ではない)

 

 なお、個人から法人に入れたお金(役員借入金)を、逆に個人に戻す際に税金はかかりません。

 

(5)同時に、取り崩した現金のうち110万円×2を妻と子供に贈与する

(6)これを20年続ける

 

 これで、特定口座を可能な限り無税で取り崩し、NISAと法人に移し、所得が出ない形で運用できるのではないかと考えています。

 

 20年後の結果報告をお待ち下さい(笑)

 


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*1:恒常的な所得=給与などに対しては総合課税とするけれど、退職金とか株式等の売却など一時的な所得を総合課税に組み込むと税金も社保もバカ高くなって公平性を欠くので、総合課税と切り離して、別の税率で取りましょう。一定の税金取るけど社保や住民税に影響しないよ、って話が分離課税の意義なんすよ。分離課税の所得を社保や住民税に反映するなら、全部総合課税でやらないと筋が通らないんですよ

法人運用メモ(3) SBIネット銀行のペイジー、ダメじゃん 社保に対応せず

 2024年4月から、住信SBIネット銀行ペイジーに対応したとのこと。

 

 これで同行の法人口座で社保が払えるなと思って、PayPay銀行から資金を引き上げました。

 

 

 

 

 さて昨日、社保の振込用紙が届いたので、じゃあ払ってやるかとログインしたところ、なんかうまくいかない…というか、eLTAXやモバイルレジでの支払い画面がなんで出るんだ?おかしくない?

 

 と、改めて詳細を確認すると、社保は対応してないご様子。

 対応する収納機関一覧に、社保の収納機関番号「00500」がありません。

 

 

 プレスリリースを再確認すると、社保の対応および「ダイレクト方式」(収納機関のサイトでワンストップで支払う方法)の対応は2024年10月となっていました。ずいぶんと勇み足のリリース出しましたねえ。ちょっと顧客の信頼失ったぞ?

 

 仕方ないので、改めてPayPay銀行に資金を振り込んでペイジーにて社保をお支払い。インタフェースもこなれてるし、いつの間にかSBI銀行も後発に追い抜かされてきてるのかなと思いました。

 

 来月ないし再来月には、三井住友銀行の法人口座から自動振替になるはずなので、SBIネット銀行のペイジーは使わずに終わりそうです。

 


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